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みらいの鴨川に必要なこと

In 2024年11月号, 記事
11月 01, 2024

広域的なつながりと外部視点の重要性

 まず、第一は、鴨川を外から見るという外部視点とそのために必要な地域を越えた広域的かつ官民を越えた幅広いつながりです。

 私は都心の民間企業からスタートし、1981年に地元鴨川で仕事を始め、その後、公職として市議会議員、県議会議員そして鴨川市長として鴨川を見てきました。 その間、常に念頭にあったのは、強い鴨川を作り上げるには地域の外から鴨川を見る目、地域の外にある民間の力などを鴨川に呼び込むことでした。

 「地方を変えるのは、よそ者、若者、ばか者」とは石破総理が度々使われるフレーズですが、「よそ者」とは広域的な外部の視点、「若者」というのは年齢にこだわらない世代を越えた視点、「ばか者」とは現状の枠内の常識にとらわれない自由な視点だと理解できます。今の閉塞感に包まれた鴨川にとってヒントになる考え方ではないでしょうか。

 このような多様な視点を取り入れることで、鴨川の地域資源や課題を新しい角度から捉え、成長や発展に向けたアイデアや解決策が浮かび上がると考えています。

鴨川の地域資源と可能性の再評価

 鴨川には多くの地域資源が存在し、さらに今は目に見えないダイヤの原石のような隠れた資源も数多く埋もれていると確信しています。これらの資源を外部の視点や市民の目線で再評価し、有効に活用することができれば、鴨川の未来に大きな飛躍の可能性をもたらすでしょう。

 地域の強みを最大限に引き出し、新たな価値を創出する取り組みが、みらいの鴨川を活力ある地域に変貌させることができます。

 地域資源の中でも、第一に挙げられるのは豊かな自然環境です。 太平洋に面した美しい海岸線は、一級の観光資源であり、さらに中山間部には大山千枚田をはじめとする田園風景が広がり、四季折々の変化を楽しめる景観スポットとして高い評価を得ています。

 これらの自然環境を活用し、教育面での取り組みやSDGsの考え方を取り入れることは、持続可能な地域発展に向けた重要な一歩です。その為にはフィルムコミッションを立ち上げメディアを誘致し鴨川をもっとPRしなければなりません。

 また、鴨川の自然環境に育まれた農業や漁業、そして食文化も、貴重な地域資源と言えます。地元産の長狭米や新鮮な農産物、漁港で水揚げされる海産物は地域の誇りであり、特に「海業」という海を中心にした地域経済活性化の取り組みは、漁業と海、漁村を総合的に活用し、新たな発展を促進する取り組みとして期待されます。

 更に、近年注目を集める「ガストロノミーツーリズム」は、地域の食文化や地元食材を楽しむ新しい観光スタイルです。海と山の幸に恵まれた鴨川にとって、この取り組みは観光資源をさらに発展させる可能性を秘めています。

 こうした資源の活用で、交流人口や流動人口の拡大を図り、第一次産業の産品を活かした流通、サービス、製造といった関連産業にも波及効果が及びます。また、クラウドファンディングやふるさと納税を通じた資金調達による展開も、地域発展の一つの可能性として期待されます。

 鴨川の観光資源や文化・歴史資源も、地域の特徴を際立たせています。全国的に知られる鴨川シーワールドや、世界的に有名な日蓮聖人に関する文化・歴史資源は、鴨川の魅力を全国、さらには国際的に広めるうえで大きな役割を果たしています。

 加えて、医療・福祉面での資源も鴨川の強みです。地域医療の要であり、世界的な評価を得ている亀田総合病院の高度な医療体制と鴨川市立国保病院、そして多くの医療、介護、福祉系機関との連携は、地域全体で強固な医療インフラを築いています。これにより、鴨川は自然環境が豊かでありながら、安心して暮らせる医療体制を誇る「健康な街」としての魅力を持っています。

 このような自然環境と充実した医療体制は、安心して住める街として人材を引き寄せ、人口減少に歯止めをかける鍵となります。

教育・人材育成

 次に、みらいの鴨川を支えるためには、次世代の教育と人材育成が欠かせない要素であり、これを実現することは現世代にとって重要な使命です。まずは、少子化に伴い生徒数の減少が進む中で、学校が目指すべき姿を明確に示すことが必要です。現在鴨川市では、学校再編が進められていますが、学校の体系が変わることは、子供たちに大きな影響を与えます。

 何よりも必要なのは、子供たちの視点に立った再編だと強く感じます。特に、小学校から中学校への進学においては、子供たちに不要なストレスを与えないような配慮が必要です。そして、再編は財政的な合理性や運営側の都合だけで進めるべきではなく、子供たちの成長と幸福を第一に考えた形で行われるべきだと思います。教育環境の変化が子供たちにとって負担とならないよう、子供の目線で慎重に進めることが、鴨川の未来を築くうえで必要不可欠ではないでしょうか。

 みらいの鴨川を活力ある地域にするためには、以上述べてきたように、外部とのつながりの強化、多様な視点や外部の視点を取り入れることが不可欠です。

 これにより、活かしきれていない地域資源を再発掘し、それを有効に活用することにつながります。

 そして、その実現には次の世代の教育や人材育成が重要であり、そのための取り組みや配慮が重要になってきます。