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海の可能性 その未来を考える

In 記事
6月 11, 2024

海に開かれた鴨川 集客拠点としての新たな可能性

 約5年間、司法の場をお借りしての裁判について、概ねの決着を見るに至りました。
 市民や市議会への説明も順次なされることと思いまが、ぜひ、関心を持ち、市民の財産であるフィッシャリーナの問題を考えて頂きたいと思います。
 世の中の様々なことについては、問題が生ずることもあります。
 正しいと信じた事を主張しあう健全な、そして多様な意見の相違は、新しい未来を形づくる推進力になります。しかしながら、市全体の利益を考えない私的な感情や保身のための判断に基づく意見対立からは何も生まれません。
 どのような形であったとしても、民主的な手続きによって一応の決着がついたならば、双方が発展的な未来に向かい、新しい関係性を築き上げる道筋を創りたいと願っています。
 ここからは、そのための具体的な可能性について考えて見たいと思います。

周辺の集客機能との連携

 海辺の魅力は鴨川にとって最大の武器です。海辺の魅力を活かし、人を引きつける集客拠点として、フィッシャリーナ周辺をハード面だけでなく、ソフト面でも再構成することが求められます。
 昨年春には、近隣に「海の匂いと風を感じる空間」をコンセプトにした「kamogawa SEASIDE BASE(シーサイドベース)」がオープンし、来訪者を引きつけています。 
 来る7月21日~8月31日には、オーストラリアフェアとして、オーストラリアのビールやシーフードが楽しめる企画、アボリジニの伝統的アート、オーストラリア旅行のブース、プロジェクションマッピングを使った映像と光のショーなどが予定されています。
 更に、7月29日には花火大会とのコラボ、8月3日にはシーフェスタが開催されるなど、多彩な催しが目白押しです。
 鴨川シーワールドとの連携と併せて、フィッシャリーナとの連携も進んでいます。
 更に、本年4月には、クラブハウス「海太郎」でも新たな試みがスタートしました。鴨川市に関連のあるアーティストによる作品を展示するためのギャラリーです。
 ゴールデンウイークには鴨川市民など多くの方々が訪れました。将来的には市民ギャラリーとしての役割も視野に入れています。
 また、海太郎は「海の駅」としても公的機関により認定登録されており、海の駅の全国的な組織である「海の駅ネットワーク」との連携による、広域的なPR活動も進展する見込みです。
 このように民間主導による魅力アップの取り組みが、徐々につながりを見せている一方、マリン開発の迷走は、これらチャンスの芽を潰してしまう恐れを孕んでいます。

鴨川の復活とマリン開発の経営体制刷新

 そのために必要なのが、様々な課題を抱えるフィッシャリーナの運営母体であるマリン開発の経営体制再構築だと考えます。
 マリン開発は公益性と採算性を両立させる目的で設立されました。また、鴨川市が筆頭の出資者として公的信頼を担うという性質が強い法人です。
 しかしながら、これまで述べてきたように、水面占用許可手続きの不備、決算など会計処理の不備、市議会への報告義務違反、利益相反にも値する可能性がある不適切な契約行為、資金管理上の疑義など多くの問題が見えてきました。 近視眼的な経営判断が、法人の特質である公的信頼を歪めている実体が一連の裁判においても明らかにされています。
 株主である鴨川市と市漁協がそのまま経営の中枢を担うという特殊な状況も影を落としていると考えられます。まずは、資金管理の問題を始めとした事実関係について、市民、市議会そして関係者に対し、しっかりとした根拠を基にした情報を開示すべきです。
 それらの現状をしっかり踏まえ、組織運営の実体を市民、市議会、関係者など多くの視点で検証することが必要です。その際、フィッシャリーナは多額な税金が投入されている事業であることを、鴨川市と市漁協が出資者である第三セクターのマリン開発が正しく認識することが必要です。
 開設当初、マリン開発とKGMはオーナーが利用する係留施設・クラブハウス他の利用料を係船料としていただいております。係船料は船舶の全長に一定の金額をかけております、そして船舶を改造するオーナーも多く公平性を保つため「全長は実測とする」ことで契約締結をしておりました。
 しかし、松本ぬい子組合長がマリン開発の代表となった令和2年度年度からの契約は「船舶検査証による」に変更してしまいました。
 このことにより、オーナーからの係船料収入は、契約延長が認められたKGMに支払う実測による金額より少額となり、当然ながら現状赤字となっております。
 また、その契約書には陸上の保管も可能と表現されていますがそのような設備ありません。
 この度の裁判の結果、KGMは契約の延長が認められたことを踏まえてオーナーとの正常な契約に修正しようとしていますが、マリン開発役員会においては、未だに一連の裁判の結果を受け入れようとしない一部の意見に左右されているようにも見受けられます。
 鴨川市と市漁協は、出資者として株主総会などにおいて経営状況のチェックという本来の役割を担うことに専念し、最前線の経営については経営のプロである民間のノウハウを活用する経営体制を目指し、結果を出すことが重要であると考えます。
 鴨川市は他にも城西国際大学跡地、ロッテマリーンズキャンプ、財政再建など多くの課題を抱えています。フィッシャリーナもその一つではありますが、ピンチをチャンスに変える大きな転機を迎えているのではないでしょうか。
 鴨川市の明るい未来のため、新しい時代の可能性を引き出す、強い鴨川の復活を切に望みます。