道路と環境
みらい協創プランを成功に導くためには、市民の生活を支えるための、道路や環境などの社会基盤を整えることが不可欠です。
また、交流人口増を実現するためにも、来訪者や移住者が安心して過ごせる環境を提供することが重要です。加えて、医療や介護、福祉、健康、子育ての充実も、少子高齢化に直面する鴨川にとって、安心して暮らせる環境を提供するための要です。
今回は、特に広域的な交通インフラとしての高規格道路「館山・鴨川道路」の整備、広域的なごみ処理体制、環境保護と再生可能エネルギーの問題について考えてみました。
高規格道路「館山・鴨川道路」
内房と外房を高速道路網でつなぐという計画は当初、館山と一宮の間での地域高規格道路として構想されました。2000年(平成12年)以前のことです。
その後、2017年には安房3市1町による地域高規格道路「館山・鴨川道路」整備促進期成同盟会が結成され、地域活性化にご尽力いただいておりました、衆議院議員中村正三郎先生が特別顧問として議員会館や国、県などに対して要望活動を行いました。現在は浜田靖一先生に引き継いでいただき、3市1町のきずなも深まり積極的な活動が行われております。
この道路は有料の自動車専用道路として計画されており、整備によって、物流が円滑化され、地域の産業基盤が強化されます。これにより、農産物や水産物の流通が改善され、地元の生産者にとっても大きなメリットとなります。
特に、観光業が主要な産業となっている当地域においては、観光客の増加がもたらす経済効果は大きいと考えられます。
さらに、安房地域だけでなく、いすみ地域の住民にとっても緊急時の救急医療体制の強化につながり、広域的な住民の安全・安心の向上が期待されています。
道路は点と点を結ぶ線としての役割が強調される傾向にありますが、すでに供用されている高速道路などの高規格道路とつながることで、地域全体を面で発展させる役割を担う重要な社会インフラです。また、防災・減災および国土強靭化の観点からも早期の具体化が求められていると言えます。
現在、要望活動や署名活動など必要な予算の確保や計画の具体化に向けた取り組みが継続して行われています。現段階は、調査中という位置付けですが、あらゆる人的ネットワークを駆使して強力に働きかけることが必要です。
広域的なごみ処理体制
2022年9月に稼働を開始したクリーンステーション鴨川は、鴨川市内で収集された可燃ごみを市外の焼却施設に搬出するための中継施設です。
稼働後33年間経過した鴨川清掃センターは老朽化が著しく、18億円以上の多額の修繕費がかかる状況でした。そのため、3市1町での広域処理の焼却施設が計画されておりましたが、その計画も2016年にとん挫致しました。
そのような窮地に追い込まれていた鴨川市内のゴミ処理を安定的に継続させるため、君津地域広域廃棄物処理事業の次期事業への参加について、決断の期限が短い中でしたが、度重なる交渉の末、2018年暮れに妥結にこぎつけ、実現したのが現在の処理体制です。
当面は市外の民間焼却施設で処理されますが、2027年には富津市に建設される上総安房クリーンシステムでの処理が始まります。
稼働2年目を迎える中継施設のゴミ搬入量は、一般家庭から出される可燃ごみだけでも、1日約30トン、パッカー車25台~30台が運び込まれます。そして10トンのアームロール車7台に詰めかえ、焼却施設に搬出しています。
安定的にゴミを処理する体制は長期的に整っている状況ではありますが、環境への配慮を考え、今後は市内のゴミの量を減らすための取り組みが重要だと考えます。 この点についても、市民の皆様と共に学び、考え、ゴミ減量の取り組みを実施するという視点が重要であると考えています。
環境保護と再生可能エネルギー
大規模なソーラーパネル設置は再生可能エネルギーの普及に貢献する一方で、自然環境への影響や地域住民の方々の理解など重要なポイントが多々あり、その調整が全国で課題になっています。
鴨川市でも同様です。
2017年3月、私が市長就任間もなくのこと、メガソーラ建設に必要な工事着工の図面は整っておりました。
その後反対運動が起き、市の最終判断として「事業体の資金計画・撤去費用の確保等五項目」を示しました。
結果的には当初の企業体でのは事業は実現せず、現事業体へと引き継がれております。
環境影響評価、開発許可などの土地利用に関する手続き、建築基準法の確認などの建築および設置に関する手続きなど、法的規制は様々あります。
事業者による法的手続きの進捗ごとに、地元住民の懸念を払しょくするための対応は異なってくると感じます。
また、法的規制をクリアしている事項については、我々が暮らしている社会が法治主義であることを考えると、一定の遵守も必要になってくるのが現実です。
私は、どんな状況であれ必要なことは、関連する情報の共有と透明性の確保であり、それこそが行政が担う重要な役割であると考えます。
そして、その情報に基づき、住民の真の想いを導き出す話し合いや対話の場も重要です。
これらの一連の取り組みの結果として、前述した当時の五項目の提示等の具体的な対応策を打ち出すなど、法的手続きとのバランスを取るための、現実的な対応や交渉が行政としての最大の役割であり責務であると考えます。