ここからは、直面する諸課題に対してどう対処すべきか考えてみます。
城西国際大学撤退後の太海多目的公益用地の活用
約80億円を投入した太海多目的公益用地の活用について、市執行部は、再三の市議会からの要請にもかかわらず、これまでの交渉経過や進捗が市民や市議会に対して開示されてこなかったことは、密室での事業推進とみなされても仕方がない状況でした。
しかし、ここにきて学校法人日本航空学園の誘致が候補として公表されたことにより、今後は、必要な情報を市民や市議会に適切に公開し、広く市民の意見を集めながら進めることが求められます。
今後の推進に際しては、太海多目的公益用地全体の利用との整合性や長期的な地域効果を十分に検討する必要があります。
また、勝浦市で研究が進んでいる大手商社のドローンを活用した流通システムの地域導入に関する提案も寄せられています。
同校の誘致が実現した場合には民間ビジネスとの広範な連携を視野に入れた展開が、学校および地域の双方にとって有益な取り組みとして、また、地域にとってもインパクトのある取り組みとして期待されます。
海辺の魅力復活
海辺のエリアは鴨川にとって貴重な地域資源の一つですがまだ活かしきれておりません。特に、フィッシャリーナ鴨川の問題に対する対応の不透明さや曖昧さが、その大きな原因となっています。
一連の裁判が一段落したにもかかわらず、当事者である第3セクターの鴨川マリン開発株式会社(以下「マリン開発」)と筆頭株主の鴨川市は今後の具体的な立て直しプランを示していません。
このような不安定な状況が続くことはフィッシャリーナ鴨川の価値を損なうだけでなく、周辺地域の活性化や賑わい創出にも悪影響を与えています。
特に注目しなければならないのは、マリン開発の経営収支の問題です。鴨川市長は6月の鴨川市議会において、「マリン開発は存続そのものが危うい状況になっているところである」と明確に答弁されました。このように経済的に実質破綻しており、鴨川市からの資金投入も必要な状況を認識しているにも関わらず、その後の善後策はいまだ示されていません。
これは、市の財産の適正管理義務を怠っていると考えられ、監査請求そして住民訴訟の対象にもなる可能性があります。
いずれにしても、確定判決により法的な立場は確定していることから、早急に具体的な善後策を公に示し、解決に向けた行動を取ることが必須です。
持続可能な地域への取り組み
メガソーラーについても課題の一つだと考えます。大規模なパネル設置は、再生可能エネルギーの普及に貢献する一方で、自然環境への影響や地域住民の理解が不可欠です。
市においても、法的手続きを進める中で、透明性の確保と情報共有を図ることが必要です。
法治主義のもとにおいては、法律や権利、義務を尊重しつつも、住民の懸念に対する丁寧な対応が不可欠です。
そのためにも、住民との対話を通じて真の意見を引き出すことは特に重要だと考えます。
行政には、法的手続きとのバランスを取りながら現実的な対応を進める責務があります。
以上のように、喫緊の課題だと考えられる案件の主なものを考えてみました。
市政運営にとって重要な案件については、少なくとも、市政の区切りである1期4年の最後の議会である12月議会において、その状況をつまびらかにすることは必要最小限度の責任の示し方だと言えます。
透明性を欠いたままでは、選挙で信託されたという信頼を損なう行為だと言わざるを得ません。
そして、来年3月に実施される鴨川市長選挙の結果は、市民の選択と判断に委ねられますが、どのような結果においても、鴨川市政は継続します。
これらの課題について、鴨川市政を担う責任を持っている現体制において、一定の方向性と解決策を決断し公表することは最低限の責務です。